母体搬送受け入れ拒否の主因は、NICU満床
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厚生科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業)
「周産期母子医療センターネットワーク」による医療の質の評価と、フォローアップ・介入による改善・向上に関する研究
NICUの必要病床数の算定に関する研究 によると、
・全国新生児医療施設126施設 (回答率59% = NICU
1220床=全国NICU病床数の52%相当)において、
・過去1年間に母体搬送を受けられなかった経験 88%
過去1年間に新生児搬送を受けられなかった経験 71%
受けられなかった理由NICU満床 82%
・新生児病床の充足度 不足72% 適切20%
充足8%
というデータが公表されています。
また、現在は、少子高齢化が世の中全体で進んでいますが、低出生体重児は増加傾向にあります。
総
数 1kg未満 1.5kg未満 2.5kg未満
平成10年 1203147 2837
7622 97612
平成13年 1170662 3074 7989
102881
平成16年 1110721 3341 8467
104832
1kg未満で生まれる超低出生体重児の増加率は特に顕著で、このデータの数年間だけでも約25%の増加があります。
その中でも実は500g未満の出生体重を持って生まれる赤ちゃんが増加しています。
日本小児科学会新生児調査によると
『出生体重別入院数の推移』
出生体重
1990 年 1995 年 2000 年 2005 年
< 400g 16
26 28 59
400-499g 34 110 126
157
500-599g
172
230
306 384
600-699g
364
390 475 533
700-799g
433
487 556 572
800-899g
462
561
607
641
900-999g
570 672
699
691
合計
2051 2476
2797
3037
となっており、合計ではこの15年で約1.5倍、500g以下の赤ちゃんだけでは約4倍となっています。
- この研究の結論としては、
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•
年間およそ36,000例がNICUにおける治療を必要
•
現時点でのNICU必要数は約3床/1000出生 (平成6年に比べて約50%増加)
• 長期入院症例が占める比率は3.85%
•
いわゆる“待機病床”は8.1%
•
短期的にはNICU病床を2.5床/1000出生、すなわち200〜500床の増床が必要
としています。
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多くの医療施設もNICUを増やしたいというアンケートを答えているのですが、当然、障害も数多くあるわけです。
一番にあがるものが、医師不足、看護師の確保となるようです。 参考:厚生労働省ホームページより
増やして欲しい、という願いはあっても社会構造としての産科医不足、そして低出生体重児やハイリスク出産を回避できる可能性のある妊娠・出産に関する基礎的な知識、情報、教育が十分にいきわたっていないことが、根本的な原因になるように思います。まずは、こういった問題があることを多くの人に知ってもらうことが、社会的な構造を近い将来変化させる手段ではないかと思います。
NICUでの大ちゃんの成長の様子
NICUでの出来事
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