朝、妻の入院している大学病院へ。
入院したのは、昨日。でも小さな赤ちゃんのためのNICUに空きがないので、今日、昼前には移動します。
同室の人も驚きの、転院の早さ。
荷物をまとめ、担架で救急車を待つ部屋へ移動。
待つ部屋って・・・分娩室だった。
看護師さんが付き添ってくれ、血圧や胎動モニターを常に気にしてくれている。
赤ちゃんは元気がない、との事。
逆子だ。
最近では救急車はこのような場合でも「予約」はできないそうだ。
あくまで救急。
直前に連絡をいれ、救急隊員が数名入ってくる。
ヘルメットに、マスク・・・すごく、ものものしい雰囲気で、これが緊急事態なんだということがわかる。
タンカに乗せられ、救急車へ。先生と、見習いの先生、そして旦那である私と荷物。救急車の中なんて、広いものじゃないので、窮屈だ。
朝、病院に来るとき、手術は延期かもしれないけれど(そんな楽観的な予想も結構本気でしていました)、赤ちゃんが産まれるとしたら、超記念日だ!と思い、愛用の一眼レフカメラに、明るめのレンズ(ひょっとすると暗い場所かもしれないので・・・)を手にして出てきていたので、ずっと肩からカメラをぶら下げています。
明らかに一人だけ・・・緊急事態ではない・・・。
乗る前に大学病院の先生に聞いたら、
「救急隊員に怒られるぞ、と」
母子共に命にかかわる時にカメラ ??
でも、大切な大切な赤ちゃんの誕生日ですもの!
不安もあるし、何が起きるかもしれない。
でも、生きてくれることしか信じていないのだから、その証でもある!
結局、救急搬送中、レンズを向けることはできませんでした。。
それにしてもよく揺れるな〜救急車。
救急隊員からこまめに
「大丈夫ですか」
「かわりないですか」
と声をかけられ、生命誕生の瞬間を迎えようとしている妻。
転院先の診察によっては数日あるいは数週間様子を見るかもしれない、と言われつつも、話の流れは明らかに今日の手術。
500gで誕生する我が子、そして妻の健康状態への不安が渦巻くと同時に、半分、とっても冷静な自分がいる。
救急車の窓越しに、すごく晴れた空を見ながら、この青空を写真に撮って、将来、子どもに見せてあげたいな・・・
それにしても50mmのレンズしかもってこなかったのはミスだったな・・・
救急隊員さん、くるぶしソックスだけど、火事の現場とか大丈夫なのかな・・・
と考えている。
不安はあるけれど、信じている、からなのだろうか。
何があっても、2人が元気に退院できることを信じる。
何があっても、現実を受け止めて、最善の策をとる。
人の、信じる力は、すごいんだ。
救急車で30分程度かけて転院先の病院に着くと、すぐに検査。
そして1時間ほど待つとすぐに手術、だった。
大学病院でも帝王切開手術の危険性や輸血や子宮摘出の可能性を聞いていたが、
ここでは帝王切開のお腹の切り方が加わった。
横に切れば、次の妊娠は自然分娩の可能性は残る。
縦に切れば、次の妊娠も必ず帝王切開になる。ということ。
赤ちゃんが逆子なので、横に切るだけでは無理な可能性が高い。
その場合は、縦に切ることになります、と。
女医さんや看護師さんの対応がとても優しく、救いだった。
手術中、NICUの前で待つ。
切り方、気になる。
赤ちゃん気になる。
お母さん気になる。
いつ手術室から降りてくるのか・・・エレベーターの表示をずっと見ながら、カメラを構えて赤ちゃんの姿を撮影する準備をする。
50分くらい、待っただろうか。。
保育器の周りに看護師さんや医師に囲まれて、
赤ちゃんがやってきた!
「予想よりも小さかったので、びっくりされるかもしれませんが」
と前置きをされた上で、保育器の中を覗く。
予想より・・・断然おおきい!! 動いてる〜〜〜〜 !!
よかった。良かった!!
チビちゃん(このときは赤ちゃんのこと、こう呼んでいました)、よく産まれてきてくれたね。
赤ちゃんはすぐにNICUの中へ入っていく。
病室で妻を待つ。
遅い・・・
無事かな。。縦に切ったのかな。。不安だ。
赤ちゃんは点滴や呼吸の処置をしてから、後で検査結果を知らせてくれるそうだ。
1時間ほどで妻も戻ってくる。
横にきっただけで、取り出せたらしい。
局所麻酔なので、一瞬だけ赤ちゃんを見れたようだ。
良かった。二人とも、無事。
でも、ちびちゃん心配だな。ちゃんと息しているかな・・・生きているかな。
産後、3時間くらいでNICUに呼ばれる。
担当の女医さんから説明を受ける(1人で)。
出生体重、604g。
ちびちゃんの隣で、話を聞く。赤ちゃんが見える。
色々つけているけど、動いているよ。がんばってるよ。
「シビアな話、ですが」という前置きの後、「25週の赤ちゃんが障害なしで育つ確率は・・・」から始まった。
これまで誰も言ってくれず、こちらからも聞けなかった。
想像は、2割か3割くらい。
「7割から6割」
一人ひとりが、とっても大事な赤ちゃん。
一人ひとりが、生きようとしている赤ちゃん。
全員が違う赤ちゃんに、確率論なんて、たいした意味を持たないハズなんだけど、やっぱりそれを知りたい。
想像よりも高かった分・・・少しほっとした瞬間でもありました。
もちろん、ほんとにシビアな話だ。
治療に関する同意書、輸血に関する同意書。
最初の1週間が、ヤマ。
肺がやぶれる可能性は大。
腸がやぶれる可能性は大。
「多分」、輸血は必要になります。と言われました。
1週間のヤマを超えても、その先、たくさんのヤマを越えていく必要がありあます。良くなったり、悪くなったり、です。
だそうです。
心配事はいっぱいあるけど、赤ちゃんは生きている。お母さんも生きている。
産まれたばっかりの赤ちゃんに触ることもできました。
元気そうに動いている赤ちゃんをみて、
「大丈夫」
と確信を持った。
指の先を握ってくれる赤ちゃんの体温と、小さいながらもしっかりと伝わるその『力』が何よりも嬉しいですね。
産まれたばっかりの息子(男の子でした)を写真に収めました。
お父さんもお母さんも、いつも近くにいるからね。
ちびちゃんの事、大好きだから、安心してね。
と言って、お母さんの待つ病室へ。
産んでくれて、ありがとう。
産まれてくれて、ありがとう。
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